開発コンセプトにもあるように、「真空管サウンドを少しでも多くの方に聴いていただきたい」ということが一番ですね。特に三極管を使用しているので、五極管アンプとも明らかに違う臨場感や、ツヤのある音を体感してもらいたいと思って開発しました。 あとは、できるだけ組み立てが容易になる構造と、ハイインピーダンスのヘッドホンにも対応できるようにしたところです。
5670Wを選んだのは、他のMT管より背が低くて外観が可愛いので、以前から採用の機会を狙っていました。今回ヘッドホンアンプを作るのに、スペックも適当だったのと、流通が安定していて、高信頼管なのに価格が安定していることも、大きな理由のひとつです。 シングル構成にしたのは、三極管特性(歪成分のほとんどが偶数次)だから。プッシュプルにすると、2次高調波は打ち消されてほとんどなくなってしまううえ、ヘッドホンアンプということで、小出力で済むこともあり、シングルにこだわりました。
まったく新しいコンセプトのキットということで、思い切って変更しました。光の加減というか、見る角度で色味が微妙に変化するので、インテリアにもマッチすると思います。この色を出すのに、塗装屋さんに、いくつも試作品を作ってもらってはやり直しを繰り返して、わがまま言ってご迷惑をおかけしました(苦笑)。色の調合具合がとても微妙なんですよ。何色って言葉で表現できるカラーでもないですし。試作段階では、赤・青・紫・白などいろんなカラーを作りました。今回の開発で一番苦労した点かもしれませんね。その結果、とてもかっこいいカラーに仕上がったと思います。
市販されているオーディオヘッドホンは、すべて対応できると思います。どんな音楽を聴くのか、好みの音質や形状などお客様の好みで選んでもらえばいいと思います。インピーダンス切替のおかげで、お気に入りのヘッドホンの性能を充分に引き出してくれると思いますよ。
コンデンサもいいものを採用(カップリングコンデンサには無誘導構造のPPフィルムコンデンサ、カソードバイパスには三洋のOS-CON(有機半導体電解コンデンサ))したので、特に改造しなくても十分楽しめるグレードに仕上がっていると思います。 あえて言えば、ボリュームは9形ボリュームを使っていますが、基板はアルプス電気の 27形ボリューム(PDFリンク)を載せることもできる設計にしていますので、ボリュームにこだわる方は、交換することも可能です。 あとは、真空管は同じ型番のものが、複数のメーカーで製造されていることが多く、ブランドによって音が違うと云われていますので、デフォルトとは違うブランドの5670Wに差し替えてみるという
楽しみ方ができると思います。
そうですね、何となく真空管に興味を持っている方や、はんだ付けがネックでキット組み立てをあきらめていた方に是非作って使って楽しんでもらいたいと思います。 「誰でも簡単に組み立てられるヨ」という点と、「でも音や回路には手は抜いてないからネ!」という点をアピールしたいですね。
今回のTG-5882のシリーズ化としてパワーアンプキットを作りたいですね。エレキットの真空管アンプにはベストセラーTU-870がありますが、入門用と言いつつもまったくの初心者にはかなりハードルが高いと思いますので。 それとそろそろプッシュプル構成のモデルを出したいですね。